サクサク、キレイに撮れるフィルムデュプリケーター

PENTAX FILM DUPLICATOR
フィルムデュプリケーターは、銀塩フィルムカメラで撮影したポジフィルムやネガフィルムを、デジタル一眼カメラを使ってデジタルデータ化するたのめのツール。デジタル一眼カメラ、マクロレンズ、外付けフラッシュを組み合わせるだけで、撮影感覚で簡単にデジタルデータ化できます。
とにかく早い
一般的なフラットベットスキャナー、フィルムスキャナーの場合、35mm判フィルムを3600dpiでスキャニングすると1枚に数分かかってしまいますので、24枚のスキャニングで約2時間など、枚数が多ければ多いほど膨大な時間がかかってしまいます。しかしフィルムデュプリケーターなら、設定が終われば1枚ずつシャッターを切っていくだけですのでとにかく早い。サクサクデジタルデータ化を進めることができます。
しかもキレイ
次に、フィルムデュプリケーターはフラットベットスキャナー、フィルムスキャナーに比べて高画質。フィルム特有の階調表現、粒状性をリアルに再現できるほか、「カメラで撮影する」という行為がベースにありますので、シャッターを押す前にピントを確認しますからピンぼけが発生する確率は少なくなります。昔のフィルムがどれだけ大事な人でも数千枚も複写すれば、きっと飽きてきたりもすると思います。膨大な量を処理しなければならないはずなので、機械的に処理するためには普段お使いのデジタルカメラの操作方法に従って同じように撮影していただくことで長期間続けていただけるようにしたいとも考えました。このあたりはカメラメーカーならではかと思います。
画素数はカメラに依存しますが、24mm×36mmの35mm判フィルムを3600dpiでスキャニングすると単純計算で1700万画素程度。最近のカメラなら2000万画素以上も珍しくありませんし、PENTAX 645Zに至っては5000万画素ですから、手軽に高画素のデジタルデータ化ができます。
さらに、フラッシュの変わりにLED照明を使えば、PENTAX得意の「リアル・レゾリューション・システム」が使えます。1画素ごとにRGBのすべての色情報と輝度情報を得て超高精細画像が生成できますので、解像力はもちろん、偽色が発生せず、ノイズの少ない高画質でデジタルデータ化することができます。
PENTAX FILM DUPLICATORを使ってPENTAX 645Zで複写
PENTAX 645Zで複写
フラットベットスキャナーでスキャニング(2400dpi)
撮影情報も残せて便利
PENTAX 645NやPENTAX MZ-Sでは撮影データを入れることができますが、そういった情報ももちろん残すことができます。また、67、645といったPENTAXでおなじみの中判だけではなく、4x5などの大判に対応したモデルもありますので、用途に合わせてお選びいただけます。
昔、複写機というと光軸がタテになっていて上から覗く形でしたが、フィルムデュプリケーターの光軸はヨコになっています。光軸が下向きですと、ピントをマニュアルにするとレンズ自重でピントのずれる危険があるほか、ブローニー判、シートフィルムまで考えると垂直方向ではカメラの位置がかなり高い位置になり操作がしにくくなってしまいます。その点、フィルムデュプリケーターは被写体が大きくても作業する高さは変わりませんので便利です。
1973年以前のネガカラーフィルム、1976年以前のポジカラーフィルムは、後年とは素材の作り方が違っていて、退色などで劣化が進みやすくなっています。早めに対応した方が良さそうです。
PENTAX FILM DUPLICATORで複写したPENTAX 645Nの撮影情報
PENTAX 645Nの撮影情報
PENTAX FILM DUPLICATORで複写したPENTAX MZ-Sの撮影情報
PENTAX MZ-Sの撮影情報
機材について
対応カメラ
レンズ交換式デジタルカメラ(高画素のカメラを推奨)。PENTAX KPなどのKマウントのほか、PENTAX 645Zなどの中判デジタルカメラでもOKです。※カメラ底面から光軸までの距離が95mmを超えるものは使用できません。
レンズ
Kマウントであれば、HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited、smc PENTAX-D FA MACRO 50mmF2.8、smc PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8 WR などが適しています。645マウントではHD PENTAX-D FA645 MACRO 90mmF2.8ED AW SR、smc PENTAX-FA645 MACRO 120mmF4 などが適しています。
推奨光源
PENTAX AF540FGZII、PENTAX AF360FGZII、PENTAX AF201FG など。なお、デュプリケーター開発時はフラッシュが最も光質、ランニングコストの面で優れていましたが、今ではLEDでも光質の優れたものが出始めており、LEDでもOKだと思います。1灯あたり1万円以上すれば安心なのではないかと思います。
PENTAX FILM DUPLICATOR
操作概要 ※詳細は同梱の取扱説明書もご参照ください
0.本体の設置
デュプリケーター本体は安定した台の上で作業することを前提としています。また、大型三脚にも固定できるようレール下部に大小2種類の三脚穴を設けてあります。
1.カメラの設置
カメラは、デュプリケーター本体後部のカメラ取付台に三脚ネジで固定します。 取付用ネジ溝はH形になっていて、光軸方向の溝はデュプリケーターの中心線と合っています。ここで合わせるとレンズの光軸は被写体の概ね左右中央になります(カメラ取付台はネジでロックするだけの簡易構造ですが、カメラの重量によりネジを緩めただけでは落ちない構造になっています。カメラ後部を若干持ち上げるようにすることでスムーズに上下させられます)。 カメラをライブビューモードに設定し、斜め線格子を表示させ、デュプリケーター前側のフィルム設置部の窓が中央に見えるようにカメラの位置決めをします。
2.原稿(フィルム)の設置
原稿フィルムに適合するフィルムホルダーを差し込み、原稿フィルム側のスタンドを前後させて撮影倍率を決めます。前後する際、フラッシュ取付用ステーを持ち上げるように前後させるとスムーズに 移動できます。
3.フラッシュの設置
フラッシュを準備します。フラッシュはカメラとの組み合わせによりワイヤレス、ケーブル接続のどちらでも可能です。フラッシュの高さは原稿フィルムの中央付近に来ればOKです。フラッシュにワイ ドアダプターがあれば使用すると良いでしょう。
4.カメラ(露出モード)の設定
露出モードは基本的には絞り優先露出モードをおすすめします。好みに応じてマニュアル露出モードもお試しください。
絞りはレンズの最も良い画質が得られるよう、F5.6~11にします。
ピントはAFでも可能ですが、ライブビューモードでマニュアル調整をおすすめします。20~30コマ程度撮影してみてご確認ください。
画質設定は後で画像処理する前提で最も自然な状態で撮影できるモードに設定します。(ナチュラルやニュートラルと表現されるモード)
ホワイトバランスはオートよりもマニュアル設定か、色温度数値設定にします。フラッシュ使用の場合には6000Kをスタートの数値とし、確認しながら微調整をします。
撮影画像のファイル形式は極力RAWデータを基本とします。RAWデータを持っていることにより、将来RAW現像ソフトが進化した時、よりよく現像することが可能になります。
5.画像処理
RAW現像は自分にとって使いやすい環境で行ってください。RAW現像後、画像処理ソフトで画像処理する場合には16bitのTIFFに現像後、画像処理を行い、完成した後、8bitのTIFFまたはJPEGに保存すると良いでしょう。処理環境、PCはデスクトップでもノートでもかまいませんが、画像を見るのは専用のモニターが良いと思います。可能な限りキャリブレーション可能なモニターをおすすめします。
6.画像の保存
一般的にできあがった画像はPC内に保存されていることが多いかと思いますが、外付けのHDDやSSDに保存するようにしてください。さらにある程度まとまってきたら、DVDやBDなどのアーカイブメディアに保存すると良いでしょう。