PENTAXは古くからフィッシュアイレンズ(魚眼レンズ)を発売してきたのですが、ズームを採用したフィッシュアイズームは1995年に発売したsmc PENTAX-F FISH-EYE ZOOM 17-28mmF3.5-4.5に端を発します。KAFマウントでもちろん35mm判フィルム用。このころから今と同じ対角魚眼ズームレンズでした。
その後、デジタル一眼の時代になった2005年にsmc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]が登場します。初代のFレンズのモデルは最短撮影距離0.45mだったのですが、魚眼レンズならではの焦点距離の違いによって大きく変化する画角、強い遠近感、被写体のデフォルメ、画面全体にピントが合ったパンフォーカス撮影などを考えると、最短撮影距離は短くしたい。そこで最短撮影距離0.14mを実現しての登場となりました。レンズの前面から約2.5cmでもピントが合うという、マクロ顔負けの近接撮影ができるレンズです。これで鼻をアップにしたペット画像も撮れるようになりました。
![smc PENTAX-F FISH-EYE ZOOM 17-28mmF3.5-4.5とsmc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF]](https://ricohimagingstore.com/media/wysiwyg/static/zanmai/002/pastmodel.jpg)
このレンズがHD化して2019年に登場したHD PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5EDへと続くのですが、HDコーティングならではのクリアな描写はもちろん、フードを取り外し式にしてフルサイズ一眼カメラでの使用も考慮しているのも大きな特徴のひとつと言えるでしょう。
三代続くフィッシュアイズームの広角側の画角は180°。初代のFレンズは35mm判フィルム用ですので、APS-Cに装着すると35mm判換算値で100°程度になり「歪みのある広角レンズ」ということでちょっと違和感が出てしまいます。しかし、APS-C用のHD PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5EDは、フルサイズで使用すると円形に近い構図で魚眼撮影を楽しむことができます。APS-Cに装着して撮影するのとはまたちょっと違うプラスアルファの楽しみ方ができるんですね。