製品名に「8x21」なと書かれていますが最初の数字は「倍率」、次が「口径」です。また、双眼鏡のボディを見ると、「6.5×21 7.5°」といった数字が書かれています。最初の「6.5×21」は「倍率×口径」で、次の角度を示す数字は、双眼鏡をのぞいたときに見える範囲の広さで、これを「実視界」と呼びます。
倍率 = 高い方が拡大して見える
倍率は見るものをどれだけ拡大できるかを示します。倍率が高いほどものが大きく見え、細かいところを見分けられる能力も上がります。倍率が8倍の双眼鏡なら、ライブ会場などで80m先にあるステージを10mの近さから眺めることと同じになります。一方、倍率が高くなると、明るさが低下し、見える範囲が狭くなります。手ぶれも大きくなりますので、12倍以上の双眼鏡には三脚の使用をオススメいたします。
観戦、観劇には倍率8~10倍を
例えば東京ドームは両翼が100m。外野席から内野手を見る場合や、外野席前にあるステージをアリーナ席の後の方から見る場合などは、このくらいの距離になります。この距離ですと、倍率10倍程度の双眼鏡であれば、人物の全身を視界いっぱいに捉えることができます。2019年に竣工した新国立競技場ですと、3層あるスタンドの真ん中あたりの席からピッチの中央あたりまでの距離が100mほどです。新国立競技場での観戦にも、10倍程度をお選びいただくのが良いかと思います。
一方、東京・銀座の歌舞伎座ですと、花道が60尺(18.18m)、舞台の間口91尺(27.573m)、高さ21尺(6.363m)ということで、1階席の後方から役者さんまでは20m程度の距離となります。この距離ですと倍率8倍くらいで役者さんの上半身をバッチリ見られますので、細かな表情も見ることができると思います。
スポーツ観戦、観劇などでは、会場の大きさを想定しながら、8~10倍のモデルをお選びいただくのが良いと思います。
口径 = 大きい方が明るい
口径は光を集める対物レンズの大きさです。このレンズが大きいほど、たくさんの光が集められ、明るさと解像力が向上します。一方で、口径が大きくなると大きく、重くなります。
天体観測などではひとみ径が大きいものを
目を当てる接眼レンズを、30cmぐらい離して見てみてください。中心に光の円が見えるはずです。これを双眼鏡の「ひとみ」といい、その大きさ(「ひとみ径」)は双眼鏡の明るさを知る目安になります。明るく、きれいな真円の「ひとみ」は、双眼鏡の高性能のしるしです。夜や早朝、夕暮れ時の観察には、「ひとみ径」の大きな、明るい双眼鏡がおすすめです。
ひとみ径=対物レンズ有効径÷倍率
ひとみ径は日中で2~3mm、天体観測で5~7mm必要とされています。これは人間の目の瞳孔の大きさと双眼鏡のひとみ径を合わせることによって、瞳孔よりも大きな対物レンズで集めた光を無駄なく利用するためです。見る対象物に合った大きさのモデルを選びましょう。
実視界 = 広い方が追いやすくなる
実視界は、双眼鏡をのぞいたときに見える範囲。これが広いと、素早く動く鳥やスポーツ選手の動きを、双眼鏡から眼を離さずに追いやすくなります。一般的に、倍率が低く、口径が大きいほど実視界は広くなっていきます。

双眼鏡には「6.5x21 7.5°」などと書かれています。「6.5」は倍率6.5倍を、「21」は対物レンズの口径が21mmであることを、「7.5°」は実視界が7.5°であることを示しています。